ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「俺……どうやってここに?」


真央は立ち上がり、蒼白な怜央を心配して近寄った。


「日向君がおぶって来てくれたのよ。いい友達を持ったわね」


「日向が……」


男をおぶって学校から家まで来るのは大変だっただろうなと想像した。


今度会ったら、礼を言おう。


怜央にしては珍しく、素直に感謝の気持ちが出てきた。


怜央の中で、友情のような気持ちが芽生え始めていた。


だが、今まで本当の友達がいなかった怜央はまだ、この気持ちの正体に気付いていなかった。


真央の手が、怜央の額に触れる。


「うん、熱はないようね。丸一日寝てたのよ、身体は大丈夫?」


「丸一日も!?」


「そうよ。茜ちゃんとっても心配してたわよ。起きたこと連絡してあげないと」


怜央は、キスのことを思い出して、真央から顔を背けた。


そして、力が爆発しそうだったことも。

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