ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「な……んで?」


「この前の見てて分かっただろ?

俺、おかしいんだよ。俺は死ぬ」

正確には、怜央は死なない。


ただ人間じゃなくなるだけだ。


けれど、そんなことを言ってどうなるのだろう。


怜央は人間じゃなくなるわけだし、自分がこの先どうなるのか分からない。


茜の記憶には、人間のままの自分でいてほしかった。


だから死ぬと言った。


人間の怜央は死ぬ。


だから、嘘は言っていない。


「……そんなのやだ」


茜は怜央を見つめたまま、大粒の涙を零した。


「俺だって嫌だ。死にたくないけどさ。どうやらそういう運命みたいなんだ」


「運命って何? そんなの急に言われても分かんないよ」


「俺だってわかんねぇよ。何がなんだかさっぱりだよ」


「わけわかんないまま死ぬなんておかしいよ! 分からないなら、もしかしたら生きる可能性が残ってるかもしれないでしょ。なんでよく分からないまま死のうとするの!?

なんでそんなにすぐ諦めるの!?」

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