ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
怜央は黙った。


茜の言い分が正しかったから。


確かに全てを知りたいと思う。


言い渋るヴラドの顔を殴ってでも、全て聞きだせばいいのかもしれない。


でも怜央は、例え全てを知っても、結果は変わらない予感がした。


ヴラドの顔を見たら、尚更その予感は濃くなった。


そして全てを知る最良の時は、人間ではなくなった時だと、ヴラドは最後に言った。


だからこそ怜央は、深く追求しなかったのだ。

「もういいっ!」


黙りこんでしまった怜央に茜は痺れを切らして、立ち上がった。


「待てって!」


怜央も慌てて立ち上がる。


「そんなに簡単に諦められるような〝好き〟なら、好きだって言わないで!」


瞳にいっぱいの涙を蓄えながら、茜は叫んだ。


「怜央ちゃんなんて大嫌い!」

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