ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
レオが呼ばれた場所は王座の間と呼ばれる特別な室だった。


職人が何年もかけて丹精に作り上げた紅いペルシャ絨毯が敷かれ、大きなシャンデリアが三つ縦に並んでいる。


天井は金色に輝き、天空を思わせるような絵画が描かれていた。


右と左脇に、合わせて百名ほどの臣下がレオを値踏みするような瞳で見つめていた。


その中には歳若いヴァンパイアと、コクーンと呼ばれる魔族も数名いた。


下座から上座に向かうにつれて年齢も上がっているようだった。


平均すると臣下の歳は人間でいうと四十歳から五十歳くらいに見える。


上座には腰が曲がり背が低くなった老臣が十数名座っていた。


そして老臣の向こう側に、見事な玉座に座った男が、レオを真っ直ぐに見詰めていた。


金色の美しい髪に、端正な顔立ち。


歳は二十一、二歳に見える。


玉座に座る者が余りにも歳若く見えて、レオは驚いた。



バドは完璧な所作で赤絨毯の上を歩いていく。


レオはハッと我に返って慌ててその後ろに続いた。
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