ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
『ほお、なかなか……』


『潜在能力はありそうだ』


『だが、人間との間に生まれた子だ』


『そうだ、忌むべき子だ』


脇に座る臣下の声がレオの耳に届いていた。


どうやら歓迎してくれているわけではなさそうだ。


それが分かると、レオは逆に清々しい気持ちになった。


元々王子になんてなりたかったわけではない。


妙な期待を持たれても困る。


嫌うなら嫌え。疎(うと)まれた方が有難い。


俺だってお前らに迎合(げいごう)する気はない。


そう思うと、レオの姿勢が伸び自信が漲っていった。


恐怖や緊張感もすでになかった。


その自信に溢れた立派な姿に、レオに対して否定的な見方をしていた臣下たちの目が好意的になっていくのを玉座に座っているラシードは見抜いていた。

< 169 / 370 >

この作品をシェア

pagetop