ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
ラシードは苦々しげに顔を歪ませた。


「自分のことを余と呼んだり、偉そうな口ぶりで話さないといけなかったり……。
わたしは本来、人の上に立つのが嫌いなんですよ。
仲間たちとひっそりと発明品を作っている方が性に合っている。

血の儀式でヴラド様がすぐにヴァンパイアに戻ると思っていたから、数年の間ならと思って引き受けてしまいましたが、まさかヴラド様がヴァンパイアになることを拒むだなんて」


「どういうことだ? 
親父はヴァンパイアに戻れるのか?」


「もちろんです。
シャオン様とご一緒にヴァンパイアに戻り、ヴラド様が王座に戻られると思って今まで我慢してきたのに。
それじゃ話が違うと言って抗議しましたら『レオがいるだろう』と」


「はあ!?」


「レオ様が王を継ぐという話はヴラド様の発案ですよ?
『俺は真央と穏やかに暮らしたいから、面倒なことはレオに任せろ』とおっしゃいましてね」


「面倒なことは俺にさせろだと!?」


「ふざけんな、あの親父! 
今まで俺がヴァンパイアだってことも全部隠してきたくせに、事もあろうに王だと!? 
王子ですら虫唾が走るのに!」


レオのあまりの剣幕にラシードは圧倒された。


「あいつめ勝手なことばっかりしやがって。
茜のこともそうだ。
親父も魔界に来ているんだろう!? 
今どこにいるんだ!?」
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