ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「それより腹減らん? 
レオ乗せて走ったら腹ペコペコや」


「俺も腹減った。起きてから何にも食べてない」


「そりゃアカンな。どっかで飯食おう。
……って言っても金ないわ。レオ持ってるか?」


「持ってるはずないだろ」


「そうやろな……」


日向は小首を傾げ、う~んと唸っていたが、レオの顔を見上げ何か思いついたらしく目を輝かせた。


「その服……売ったらいくらくらいになるんやろ」


「服? 言われてみれば確かに上質な生地でできてるな。
何より、この帽子邪魔だし」


レオは羽のついたテンガロンハットを乱暴に頭から取った。


「なんといっても王子が着る服やで。絶対高いはずや」


「王子言うな!」


「まあまあ怒んなや。もちろん王子ってことは隠さへんとな。
よっしゃ、これは俺の出番やな」


日向は満月を見上げ、目を閉じた。


すると月明かりが日向に照らされ、みるみるうちに人間の姿へと変わっていった。


道行くコクーン達は日向が狼から人間の姿になったところで不思議がる者はいない。
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