ヴァンパイア王子～覚醒のblood～

黄色い声が上がった方向を見ていると、怜央が一人颯爽と廊下を歩いてこちらに向かって歩いてきている所だった。


そのオーラは凄まじく、男も女も声を掛けてみたいとは思っていても、気軽に声を掛けれるような雰囲気ではなかった。



「怜央ちゃんっ！」


そんな中、早く一緒のクラスになったことを伝えたい一心の茜が怜央に声を掛けた。


親しげに呼んだ茜に、周りが一瞬で凍りついた。


針のように鋭く刺さる視線と、凍りついた空気に茜は口にしてから「しまった！」と思った。


怜央も周りの反応に、茜にだけ分かるように口パクで「バカ！」と言った。



怜央が気にしたのは、皆の前で「ちゃん付け」にして呼んだことであって、親しげに話しかけたことに怒ったわけではないのだが、茜は怜央の人気を昔から嫌というほど見てきているので、自分の軽率な行動に心から反省したのだった。