ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
店内は酒場のようで陽気な音楽が流れ、とても賑わっていた。


テーブル席はいっぱいだったので、仕方なく二人はカウンター席に並んで座った。


カウンター越しには、とても長い8本の手を持つ店員が、その長くて多い手を器用に使って料理やドリンクを作っていた。


客たちはレオを一瞥(いちべつ)したが、すぐに視線を戻し自分たちの世界で盛り上がった。


「メニュー表とか、ないのか?」


レオはメニュー表を探して、首を動かした。


「あったとしても、魔界の文字だったら読めへんよ?」


「それを言うなら俺だって分かんねぇよ」


席に座ったはいいが、二人は黙り込む。


「そういえばさっきの店でいくらもらったんだ?」


「おっ! そうそう!
見てや、30ダラスもろた!
最初の言い値の三倍やで」


日向はポケットから3つのコインをカウンターに置いた。
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