ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「お前、何してるんだ」


レオが冷たい声を出し、ヴァンパイアと対面した。


日向は震えて座っている親子を守るように横に立った。


「小僧、邪魔だ。
俺はコクーンに用がある。
醜く無能なコクーンは死ねばいい。
俺が皆殺しにしてやる」


そう言った男の後ろを見ると、岩のような体のコクーンが道路の真ん中で息絶えていた。


「後ろの男もお前が殺したのか」


レオの瞳が紅く染まっていく。


「そうだ、俺が殺してやった。
醜いコクーンは生きる価値がない!」


「生きる価値がないのはお前の方だ」


レオは両手を男にかざすと、そこから龍の姿をした炎が飛び出てきた。


大きな口を開けた龍が、男を飲み込むように襲っていく。


男は驚いて、マントを体に巻きつけるように翻した。


風が巻き起こり、男の姿が消えた。


辺りに静寂が訪れる。


「消えた……。どこに行った?」


「逃げよったらしいな」


日向がレオの隣に立った。
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