ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「まずはどうやって身体から血が溢れ出していないのに出血死したのか原因を特定してくれ。

殺害方法がわかれば警察も本格的に動けるからな」


皆がゴクリと唾を飲み込むと、「そうそう、原因特定のヒントになるかもしれない情報が一つ」と赤銀が話を続けた。


「女子生徒の首元には二本の牙で刺されたような傷痕があり、そこから血が吸い取られたような痕跡が死亡解剖で発見された」


「吸い取られた……まるでヴァンパイアみたい」


茜の零した言葉が、妙な名残となって部屋にたちこめた。


それからは誰も発言することなく、今日の顔合わせは終了となった。


皆、椅子から立ち上がるのが億劫になるほど、どっと疲れていた。


ドアから出る時、赤銀が「この部屋は地味で落ち着かない」と生徒会長に零すと、生徒会長はトロンとした目付きで「それでは早速業者を呼んで、改造させましょう」と言った。


その目はまるで恋する乙女のようだった。
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