ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
そして藤崎の姿に隠れてよく見えなかったが、藤崎が身体をずらした時一瞬だけ男の顔が見れた。


椅子に座り、表情一つ変えずに藤崎の身体を撫でるように触っている。


その男は紛れもなく、生徒会の顧問、赤銀統夜だった。


怜央の視線に気付いたのか、赤銀の顔がドアに向く。


あっと思った時には遅かった。


目と目が合い、怜央は慌てて開いた隙間から隠れるように一歩横に立った。


「覗きが趣味とは、いい度胸をしているな。


神無月怜央!」



刀で鋭く刺すような声と共にドアが豪快に開け放たれた。


怜央は唖然として藤崎と赤銀の前に立ち尽くす。


赤銀と藤崎は椅子に座ったままだった。


生徒会室には他に誰もいない。


では、〝誰〟がドアを開けたのだ?
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