ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「俺の質問に答えてない。

プレゼントとは何だ?」


「先生に対する口のきき方じゃない。優等生の君らしくないな」


「は、先生? 学校内で生徒に手を出す奴は先生とは認めない」


「ほう、立派な考えだ。実にくだらない人間界の常識に支配されているようだ。

女を抱くことなど、力を補充する為の一時の精力剤にしかならん」


「最低な考えだな」


「この言葉はお前の父親の受け売りだぞ?」


「親父を……知っているのか?」


「知らない奴はいないさ」


赤銀は嘲笑った。


心底馬鹿にするような声色だった。


「そうそう、質問に答えてなかったな。

音楽室に入った途端、むせ返るような匂いがしただろ?


人間には分からない、血の匂いが」


「血の匂い?」


「そうだ、死ぬ前の血の匂いは強烈だからな。

それが処女の血であれば、尚更濃度は増す。


ほんの数滴垂らしただけだったが、予想以上の効果だったようだ」


赤銀は、血の気が失せ、紫色になった怜央の唇を撫でるように触れた。

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