ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
家畜呼ばわりされて、怜央はカチンときた。


理性で必死に抑えてはいるものの、少しでも赤銀が隙を見せようものなら、青白い頬を拳で殴っているところだった。


しかし赤銀は、へらへら笑っているものの一切の隙がなかった。


怜央が全神経を集中していないと、逆に取って食われるような、そんな冷徹な恐ろしさを滲ませていた。

「教えてあげよう。君が何者か」


赤銀がパチンと親指と中指を交差させて音を出すと、端でぐったりと座り込んでいた藤崎がむくりと起き出した。


人形のように生気を失った藤崎が怜央と赤銀の前に立つ。


赤銀は藤崎の長い髪を横にずらし、綺麗なうなじを怜央に見せつけるように差し出した。


「どうだ? さっきまで俺が交わりの中で力を吸っていたから、その名残で匂いが強烈に放たれているだろう。

我慢できないはずだ。違うか?」


赤銀は餌を差し出すように、藤崎の首を差し出す。

< 71 / 370 >

この作品をシェア

pagetop