ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
――――――――…


爽やかな春風が、ウェーブがかった栗色の長い髪の毛を揺らしていた。


紺色のブレザーにおろしたての白いシャツ。


赤く細長いリボンを緩めに結んでいるので、への字型の鎖骨が綺麗に映えていた。


赤と黒のチェック柄のプリーツスカートからは、白く細長い生足が伸びていた。



「茜(あかね)!」


怜央が呼ぶと、住宅街の塀に手持ちぶたさで寄りかかっていた少女が顔を上げ振り向いた。


怜央の存在に気付くと、少女の瞳はキラキラと輝き、桃色の唇がみるみるうちに嬉しさで緩んでいく。


「怜央ちゃん!」


少女の声もまた、喜びに満ち溢れていた。

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