蹴球魂!!!!

Game27

「満月…」


真っ暗な空に、明るく輝く満月。

それと反比例するように、あたしの心は真っ黒で、淀んでいた。


胡桃は、あたしが晃汰の事が好きって言ってから、ずっと応援してくれてた。

唯斗先輩にメロメロで、マネージャーにもなった。


でも…本当にそうなの??


心のどこかで、あたしを馬鹿にしてたんじゃないの??

唯斗先輩目的とか言って、本当は晃汰に近付きたかったんじゃないの??


ーズキンッ


「こんな事、思いたくないのに…っ!!!!」

あたしの中で、溢れ出す汚い嫉妬心。

胡桃の事、大好きなのに…。疑いたくないのに…。


「っ……ふっ…うぅーっ……!!」


汚い感情と一緒に、大粒の涙がとめどなく流れる。


いつも、一緒にいてくれた胡桃。

男の子に囲まれて、なかなか女の子の友達が出来なかったあたしに、優しい笑顔で声をかけてくれた胡桃。

あたしを元気づけようと、何度もピアノを弾いてくれた胡桃。


あたしの大好きな…胡桃。


なのに、そんな胡桃を疑ってるあたしがいる。

そんな胡桃に嫉妬してるあたしがいる。

本当なのか、聞いてもいないクセに…。


そうだ、確かめなきゃ。

胡桃本人に、直接聞いてみなくちゃ!!


あたしは、溢れ出す涙を拭って、ケータイを開いた。


〈件名:胡桃に聞きたい事があります〉

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