蹴球魂!!!!
「鈴、木……??」


鈴木って、もしかして…胡桃……??


だとしたら…。

あたしは、微かな記憶を辿って行った。


“私の、思い出の曲…なんだぁ”

あの曲を弾いてくれた時、胡桃は凄く、切なそうな顔をしてた。


“ アイツ、マネージャーやんの??”

“俺なら、アイツをマネージャーにはしないと思う”


あの時の晃汰が怖かったのは、胡桃のせい…??


“うるさい…”

音楽室の前で晃汰を見た時、晃汰の目には、溢れそうな涙が溜まっていた。


バラバラだったパズルのピースが、徐々に当てはまっていく。


…!!

あの、雨の日のキス!!!!


“鈴木…”

“今でも…忘れられない…”


…もしかして、あのキスは…晃汰にされ、た……??


「…だから、悪いけど…俺は鈴木を諦められねぇんだよ」

「っ…!!」

「あん時…鈴木のピアノ聴いて、俺、泣いてただろ??…それぐらい、まだ諦めがつかない」


なんで…??


「くっ…胡桃は、好きな人がいるって言ったもん」

「ああ、見てればわかるよ。唯斗先輩…だろ??」

「わかってるなら、なんで…??叶わないってわかってるじゃん…!!」


違う。

言いたいのはこんな事じゃないのに…。


「ほら、お前の最寄り駅着いた。じゃあな」


あたしは、晃汰に押されるがまま、電車を降りた。

失恋のショックと、胡桃へのショックを抱いたまま、明るい月が、淀んだあたしを照らしていた。



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