蹴球魂!!!!
ーピーッ


試合開始のホイッスルと共に、ピッチ上の22人が一斉に動き出す。

たった1つのボールを追って、制限時間は70分。


あたしがするべき事は、1つだけ。


「円ちゃん!!」

「はい!!」


チームメイトが奪って運んでくれたこのボールを、あのネットに突き刺す。

ただ、それだけっ!!


ーバシュッ


「は…入っちゃった」

「「うぉぉぉー!!円ちゃーん!!!!!!!!」」


パスを受けて、ゴールへまっすぐに打ったシュート。

こんなにも綺麗なインステップ(1歩踏み込んで足の甲にボールを当てる事)なんて、初めてかも!!


あんなに上手く当てられると気持ちいいものなの!?


「円」

「あ、晃汰!!今のあたしのシュート見た!?」

「見た。フォームも崩れてなかったし、ど真ん中行ってた。…お前にしてはやるじゃん」

「お前にしてはって失礼じゃない!?」


そう言いながらも、口元がニヤニヤと緩む。

晃汰に褒められるなんて珍しすぎるっ!!!!


ーピーッ


ハーフラインに戻って、相手ボールからの試合再開。

まだ1-0。どこで試合がひっくり返ったっておかしくないスコア。


「こっち寄こせ!!」

その時、相手ユニフォームを着た10番がスッと右手を上げ、言葉通り彼へボールが渡った。
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