蹴球魂!!!!
いつの間に、あたしはこんなにも晃汰に惹かれていたんだろう。

どこに、惹かれていたんだろう。


わからない…けど、それだけ好きって事に、変わりはない。


「……。」


自分の想いに気付けば気付くほど、心は苦しくなる。


「んじゃ、1位取ってくるー」

気の抜けた、晃汰の声。

「行ってらっしゃーい」

平常心を装った、あたしの声。


…駄目だな、あたし。


こんなにも、自分の気持ちが抑えられないなんて。

…こんなに弱かったなんて、知らなかった。

…こんなに好きになってたなんて、気付かなかった。


「あっ!!晃ちん発見ー☆」

男子の対抗リレーの選手のうちの1人でもある俊介の声で、あたしはハッと我に返った。


…いつもの、ボーッとした表情じゃない。

滅多に見られないぐらいの、真剣な表情。


その表情は、まるで試合の時のようだった。


ーパシッ

ついに、晃汰の前の走者にバトンが渡った。


見ていたあたしたち全員が、静かに息を飲む。


あたしたちは今2位。1位との差は…約半周。

1人で1周走らなきゃいけない男子だからこそ、この差も埋められるような気がして…。

ううん、晃汰なら…きっと、出来る。


ーパシッ!!


ついに、晃汰にバトンが渡った。
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