友達でいたかったの【短編】


「あぁ…。こーちゃんがストーカーしてたとき?」



沙羅は手袋で顔を隠しながら笑った。



「ちげーよ!あれはお前がひとりで帰りたいとかわがまま言うからだろ」



「ごめん、ごめん」



沙羅はその家の針葉樹…松の木だろうか、の小さな枝を二本折って雪だるまの手として飾り付けた。



「ここの家の女の子、ここ一年くらい体こわしてずっと寝込んでるんだって。会ったことはないんだけど」


「で?」



「で、冬は雪だるま置いたりとか、秋は紅葉置いたりとかしてるの」



「ふう〜ん」



「なんかきっとそういうちょっとした変化とか嬉しいんじゃないかなぁって。見てるだけでも…」



沙羅の声のトーンが落ちた。


「どうした?」



「私も窓から見てるだけだったから。一回も窓、開けようとしなかった」



「…何の話だよ?」



「窓開けて、手のばしたらすぐ届きそうだったのに」


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