友達でいたかったの【短編】
「3年間、ずぅっと。怖かったんだ、手を振り払われるんじゃないかって」
沙羅は塀の上に降り積もった雪を手で振り払った。
沙羅が何かを呟いた。蚊の鳴くような声で。
「なんだよ?」
「好きだったよ。ずっと好きだったよこーちゃん」
沙羅は振り返らなかった。
俺は時間が止まってしまったかのように動けなかった。
思考もうまく動いてくれない。
沙羅が、俺を好き…?
「ずっとって…」
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