。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


慌てて電話したにも関わらず、家に着く頃にはすっかり雨はあがっていた。


時間は夜の19時。


「叔父貴、せっかくだからご飯食ってかない?」


「いや、俺はこのあと予定があるんだ。ありがたいけど悪りいな」


予定……かぁ…


叔父貴にさっきの女のこと聞きたかったけど、無理そうだ。


「じゃぁな、朔羅。また連絡する」


叔父貴は爽やか過ぎるほどの笑顔を振りまいて、帰っていった。


そのすぐ後に戒もバイトから帰ってきて、ホントはすぐにでも、青龍会本部であった事柄を報告&相談したかったけど、


すでに食事の準備が出来ていた為、断念せざるを得なかった。


戒もキョウスケも普段通り……食事をしている。


あたしがどこか腑に落ちない様子でマサ&タクの作ってくれたごはんを食べている最中のことだった。


「イチ。醤油とってくれ」


イチ……


マサの声にあたしはびっくりして目を開いた。


茶碗と箸を持ったまま固まっているあたしに戒は怪訝そうにちらりとあたしを見る。


「へい」


何てことない…イチの本名は壱衣(イチイ)だった。


あたしは訝しげにイチの顔をじろじろと眺めると、イチは戸惑ったように口を結ぶ。


「どうされやした?お嬢」


このイチは……


どう見ても男だよな。


低い男の声だし、筋肉ムキムキだし、歳も30過ぎてっし、おまけに人相も悪い。


あの美女とは似ても似つかない―――な……







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