。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「何ごとだ?」
ただでさえ厄介事を抱えている俺は不機嫌そうに組員の一人を睨んだ。
「オヤジ!大変ですっ!タイガの兄貴が…」
「あいつが何かやらかしたか?殺しか?それともヤクか?ヤクだったら、追放だ」
ぞんざいに言って俺は所長である俺のデスクに腰を降ろした。
上質な革張りの回転椅子だ。すぐに事務所で雇っている女子事務員がお茶を運んでくれる。
大狼 恵一(タイガ ケイイチ)age:41―――青龍お抱えの税理士で、少し変わっては居るが、あいつは頭が良く仕事も早い。おまけに喧嘩の腕っ節もいい。ようは俺はヤツにそれなりに信頼を置いているっていうわけだ。
だけど……
「オヤジ!!それが誘拐ですよ!それも…とうとうジャニーズ事務所からっ!!」
組員の一人が勢い込んで、俺は飲んでいたお茶を危うく吹き出しそうになった。
俺はそれなりにヤツを信用している……
が!!
あいつの気色悪い性癖はイマイチ理解できん!!
つまりあいつは可愛い“男”が好きなのだ!
組員の群れを掻き分け、応接室の窓をちらりと覗くと、大狼がソファに腰掛けていた。
スラリとスタイルがいい体を捻って、向こう側にいる…たぶん……いや、認めたくはないが絶対に男だと思われる(顔が見えないけど)人物の肩に腕を回していた。
窓に耳を寄せると、
「へぇ大学生?高校生かと思った♪でも僕は全然OKだよ♪」と言うヤツの声が聞こえてきた。
くらり…
俺は眩暈を覚えると、慌てて組員が支えに入る。
いかん、持病の貧血が……
俺が倒れそうになっているって言うのに、
「僕のスペシャルドリンクなんだ。ヒヨコちゃんに特別サービスしちゃう♪」
なんて言って大狼の明るい声が聞こえてきた。
“ヒヨコちゃん”だぁ!?
「ふっ。震えてるの?可愛いな♪僕が暖めてあげるよ♪」
身の毛もよだつこっ恥ずかしい台詞を聞いて、
プツン
俺の中で何かがキレた。