。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
*戒Side*
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** 戒Side **
朔羅が氷枕を探しに部屋を出て行った。
襖がきっちり閉まる音を聞き届けると―――
「……戒さん、ほんまに離れてください。……うつる」
響輔は目を閉じたまま小さく言った。
俺は目を閉じたまま、それでも響輔の肩に置いた顔を退けなかった。
細くて滑らかなラインを描いた首は熱を持って熱かった。
「うつってもええよ。お前のなら」
そう囁くと、
「戒さん―――……」ごそっとキョウスケの頭がわずかに動いた気配を感じた。
ゆっくりと目を開けると、響輔が訝しげに眉を寄せていた。
「……気持ち悪いです」なんて言って顔をしかめる。
「言うな。俺だってガラにもないこと言って後悔してる」
響輔はちょっと苦笑いをして、それでもゆっくりと目を閉じる。
目を閉じたまま上を向いて、響輔は口を開いた。
「戒さん……俺、お嬢に…いや、朔羅さんに自分の気持ち伝えました」
俺も目を閉じてキョウスケの肩に再び頭を乗せた。
響輔の肩からはTシャツを通しても、熱が伝わってくる。
その温度で分かる―――……結構こいつ熱ある…目測で計ると、38度5分ぐらいかな…
「響ちゃん。泣いてもええよ―――……」
俺は響輔の肩に頭を乗せたまま、そっと呟いた。