。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「お嬢さん、私があげたナース服良くお似合いで。フフッ」
リコはびくっと肩を揺らしてあたしの背後に隠れるように身を寄せた。
「そう怖がらなくて大丈夫だよ、小悪魔ちゃん♪この男は変態っぽく見えるけど、他意はないんだ」とタイガ。
おめぇは普通っぽく見えるけど中身かなりの変態だがな。とあたしが心の中で突っ込みをかます。
ドクターはさすが医者だけあってキョウスケの額に手を伸ばすと、
「ふむ。熱がだいぶあるようだ。これは辛いでしょう」と言って手際よく口を開いて喉を見たり、耳の後ろに触れたりしている。
キョウスケは大人しくされるがまま。
ドクターの手が布団をめくり上げ、キョウスケの首元に手を回すと、その横からタイガの腕がキョウスケのTシャツのすそをちょっとめくっている。
「響輔に変な真似すんじゃねぇ!」
戒の蹴りがタイガの頭に直撃して、
「痛いなぁ。でもなかなかいい"あんよ”だね♪ヒツジちゃん」と戒の太もも辺りにを撫で撫で。
「俺にも触るな!」とぎゃぁぎゃぁ。
「…………」
聴診器の先をキョウスケの体に当てているドクターの背中に、無言の怒オーラが出ていた。
ドクターは変態っぽいが、仕事にかけてはしっかりしてるみたい。
あたしは、むんずっと戒とタイガの首根っこを掴むと、二人を外に追い出した。
ユズを叫びながら呼ぶと、
「おいっ!ユズ!!こいつらを丁重におもてなししてろっ!とくにこの変態タイガの方はなっ!」
と、怒鳴り、戒もタイガもあたしの剣幕にびっくりして目を丸め、ユズは言われた通り二人を下に引っ張っていった。
部屋に戻ると、ドクターは点滴の準備をしていた。
その傍らでリコがぎゅっとキョウスケの手を握って心配そうに目を閉じたままのキョウスケを見ている。
やっと静かな部屋になったってわけだ。