。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


そんなことを考えていたからかな。


その晩―――夢を見た……





楽しかった、幸せだった頃の夢を―――





龍崎家の縁側で、あたしと叔父貴―――それから雪斗が並んで座って、空を見上げている。


深い瑠璃色の空を彩るのは、まるで宝石を散りばめたような色とりどりの大きな花火。


花火の打ちあがる音に混じって、かすかな蝉の声。


そして庭の木々の青々とした匂いに混じって、ほんの僅か火薬の匂い。


夢だというのに、体の五感すべてが研ぎ澄まされていて、細部まで鮮明だ。


「花火の打ちあがる音ってさ、雷の音に似てるよな」


あたしはすぐ左隣に座ってタバコをくゆらせている雪斗を見て笑った。


「まぁそうかもなぁ。だけど、そうだったらお前花火一人で見れないじゃん」


と雪斗が微苦笑を浮かべる。





「雪斗と叔父貴が居るから平気だよ」





あたしが右を向くと、同じようにタバコをくわえた叔父貴がやんわりと微笑んで、あたしの髪を撫でた。


あたしが笑った拍子に、反対側ですぐ近くにあった雪斗の冷たい手が、僅かに触れた。


別に―――雪斗と体の一部が触れようと、意識することはなかった。





だってあたしたちは―――家族だったから。




だけど雪斗は………?






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