。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。




雪斗が咳払いをして、少し体を遠ざける。





あたしは頭にクエスチョンマークを浮かべて雪斗を見上げたっけ。


雪斗は悲しそうに苦笑を漏らし、体を遠ざけた。


……雪斗……?




雪斗の体がどんどん遠ざかる。


「雪斗……」


あたしが呼んでも、その姿は近づいてこずに―――どんどん、どんどん…




やがてはあたしの視界から完全に消えた。




何となく顔を上げると、あの深い夜の空はきれいな花火が打ちあがっていた筈なのに…


いつの間にか空をも覆いつくすような淡い―――



桜の花びらが舞っていた。




ひらひら




きれい―――なのに怖い。




淡い桃色をした視界からどこからともなく声が聞こえてきた。






「朔羅―――



大好きだったよ。



ただ俺は―――





愛し方を




間違えた。






ごめんな」






寂しそうな…悲しみを滲ませた声。



その声は紛れもない雪斗の声で―――だけど、どんなに目をこらしても



雪斗の姿は見つけることがなかった。







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