軽業師は新撰組隊士!



土方は切り傷を見た後、おもむろに楓の指を自らの口に含んだ。


「――!? っえ、な、…は!?」


楓は驚いて腕を引っ込めようとするも、手首を捕まれているため、それはかなわなかった。


「あ、あの!土方さん!?」

「…、んだよ。舐めときゃ治るんだろ?」

「いや、確かにそう言いましたけど…!」


楓の顔が紅潮していく。
原田は横で「ひゅー」と口笛を吹いて冷やかしている。


楓は助けを求めるように永倉を見てみたが


「………。」


楓に言われたことは済ませて、今は真剣に味噌汁の出汁をとっていた。

楓は助けを求めることは諦めた。



「う…あの、土方さんっ。」

「あ?」

「ご飯!ご飯作りましょう!」

「治療が先だろ。」

「あ、あとで山崎さんにちゃんと治療してもらいます!」


そこまで言って、ようやく手首を掴んでいた手を離してもらえた。



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