軽業師は新撰組隊士!


守れなかった。


根も葉もない噂を流され、信頼していた仲間にブチギレられちゃ、泣きたくもなる。


「原田は…正義感が強いからなぁ。」


正直者で、真っ直ぐで
そんな男だ、アイツは。

今回、キレたのもそのせいで、
でも、仲間を思ってしたことだから、間違ったことをしていてもあまり怒れない。


きっと…コイツもそうだろう。
と、考えていたら


「土方、さん…?」


楓がうっすらと目を開けていた。


「起こしたか、悪かった。」

「いえ…。あの、ですね。」


楓は起き上がって、座ってから、どことなく不安そうな目で俺を見た。


「土方さんと原田さん…喧嘩してませんよね…?原田さん、怒ってましたから…その、心配で。」

「………。」


つくづく思うが
コイツ、なかなか俺を頼らねえな。

普通は、落ち込んで、自分のことを心配して、弱音を吐くだろうに。


そういう甘えてくる女ってのは嫌いだが
好きな女にゃ甘えてもらいたいのが男ってもんで…


とか、ゴチャゴチャ考えてもしょうがねぇな、と思い、頭をガシガシと掻く。



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