軽業師は新撰組隊士!
楓は逃げるのを諦めて、とりあえず座り直した。
それと同時に美丈夫も座る。
向かいにある整った顔が恨めしい。
「で、しがない女に何のようですか?あなたは誰です?」
「…お前、昨日の奇っ怪な格好はどうした。」
「質問返しですか…。その“奇っ怪”な服はコレになってます。」
楓は髪をほどいて、結んでいた紐をみせる。
すると、なるほど、と頷かれた。
「で、お前。何者だ?」
「人に聞くならまず自分から…と言うけど、先に聞いたのは私だから答えます。柴田楓です。」
そう言うと「偽名か?」と言われたが、紛れもなく本名だ。
なので楓は無言で美丈夫を睨んだ。
すると、偽名じゃないと認めてくれたらしい。