軽業師は新撰組隊士!


(ていうか、き、キス……!!)


「うわわわ、な、なんてことを…皆さんの目の前で…。」


自己嫌悪に似た羞恥が楓を襲う。

いくら嬉しかったとはいえ…。


「見せつけるくらいがちょうどいいだろ?」

「恥ずかしいものは恥ずかしいんです!」


先ほどまでの弱々しい土方はどこへやら、今はすっかり元通りだ。


「あのさー、結ばれて早々に痴話喧嘩も見てて面白いんだけどー、鬼一くんがかわいそーなんですけどー。」


藤堂が手を上げて発言して、
バッと鬼一を見ると


「………。」

「………。」

「…まぁ、うん。オメデタイヨナ。」

「スミマセン。」


なんだか明後日の方向を見ていたので、敵とはいえ申し訳がたたない。


ずっと放置していたのだから。


土方が鬼一に話しかける。


「濱口……、時間も隙もあったろ。何故逃げなかった?」


逃げる様子もなく、じっと佇んでいる鬼一を怪訝そうに見る。




< 193 / 250 >

この作品をシェア

pagetop