軽業師は新撰組隊士!



「土方さん…無事で良かった。」

「ったく、無茶すんな。すこし斬られただろ。何処だ?止血する。」

「いや、私より総司さんが…、っ!」


戦いは終わったと分かり、一息ついたとき
楓の身体が地面に倒れ込んだ。


「っ、楓!」


土方が抱き起こすと
楓は浅く息をしていて、急激に弱っていた。


「っだれか!総司を運べ!」


近くにいた隊士たちに命令して、土方は急いで楓を屯所へと連れ帰った。



*********


「例えるなら、燃え尽きる前の蝋燭、じゃ。」


俺、近藤さん、原田、永倉が寝ている楓のまわりに集まっている中、
親父さんが言うには
もう時間は無い、と。


「我が寿命を与えた、と言ったろう。」


親父さんが猫の姿になって十二年。

猫の身体ではもう保たないなか、
楓に与えられる寿命は三か月が限界だったと。


「僕は…、知ってました、よ。」


襖が開き、入ってきたのは総司だった。


「総司、お前…。」

「大丈夫です土方さん。僕はただの熱中症だったらしいですから。」


そう言って俺の横に座った。



「僕は、楓から聞きました。自分の寿命はあと三か月だ、と。」

「聞いていたなら、何故、俺に言わなかった…!」


胸倉を掴んで凄むと、


「楓が!『皆さんには秘密です』と!」


そう言っていたんです!と総司は叫んだ。



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