軽業師は新撰組隊士!
「土方さん…無事で良かった。」
「ったく、無茶すんな。すこし斬られただろ。何処だ?止血する。」
「いや、私より総司さんが…、っ!」
戦いは終わったと分かり、一息ついたとき
楓の身体が地面に倒れ込んだ。
「っ、楓!」
土方が抱き起こすと
楓は浅く息をしていて、急激に弱っていた。
「っだれか!総司を運べ!」
近くにいた隊士たちに命令して、土方は急いで楓を屯所へと連れ帰った。
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「例えるなら、燃え尽きる前の蝋燭、じゃ。」
俺、近藤さん、原田、永倉が寝ている楓のまわりに集まっている中、
親父さんが言うには
もう時間は無い、と。
「我が寿命を与えた、と言ったろう。」
親父さんが猫の姿になって十二年。
猫の身体ではもう保たないなか、
楓に与えられる寿命は三か月が限界だったと。
「僕は…、知ってました、よ。」
襖が開き、入ってきたのは総司だった。
「総司、お前…。」
「大丈夫です土方さん。僕はただの熱中症だったらしいですから。」
そう言って俺の横に座った。
「僕は、楓から聞きました。自分の寿命はあと三か月だ、と。」
「聞いていたなら、何故、俺に言わなかった…!」
胸倉を掴んで凄むと、
「楓が!『皆さんには秘密です』と!」
そう言っていたんです!と総司は叫んだ。