夜光虫
おかしなひとだ。
見た目は格好いいのに、発言が爺臭い。
「俺? 俺は線香花火でいいよ。オジサンだから」
「何言ってるんですか。意味が不明ですよ椎名さん」
「意味不明も何も、一番年寄りだろ」
「何年寄り強調してるんですが」
「いや・・・なんとなく?」
浩介とのやり取りも奇妙で可笑しい。
堤防からの石段に座りながら、靴に入った砂を落としてそんな二人に苦笑する。
「・・・何て言うか」
「うん?」
「変な人だね」
返事に困って、美優は首を傾げた。
確かに変な人ではある。
それは間違いないと思っているが・・・・・・
美尋の言うように、確かに私には丁度いいのかもしれない。
浩介よりは大人で、変な人で。
でも、一番最初の印象はなんだったんだろう。
そんなことを考えている美優に、周人は花火を持ってきた。
「ほら。あんたもやるだろう」
気がつけば、美尋は浩介のもとで花火に火をつけてもらっている。