AKIRA


 そりゃ、陽は『女が大っ嫌いだ』なんて言う奴だから、女になるってのは嫌いかも知れないんだけど、でも、それじゃ、俺が進めねぇっていうか。

 このままいったら、俺は一生、陽に想いを告げられないままババァになるかもしれないし……って、それは考え過ぎか。

 ふと、男子コートを見れば、啓介がまだ俺に向かって手を振ってくる。

「それにしても服部もわかりやすい奴よね」

 そう言って平塚先輩が、呆れたように俺に笑いかける。

「はは、そう、ですね。困ってるんですけど……幼馴染で憎めないっつうか」

「幼馴染? それだけで加藤から離れないなんてないわよ? それが通用するのは小学生までよ」

 ぐ、痛いとこ付いてくるなぁ……女ってのはこうも、みんな敏感なのか? ……って、俺も女だよな、一応……。

 そんな事より……啓介の奴……本気、なのかよ。

 でも……嫌じゃねぇよ……。

 そんな事を言われて、嬉しくない訳じゃないんだよな。

 京子を見ると、苦しい。でも、啓介の気持ちは、嬉しい。だけど、俺の啓介に対する気持ちは特別な『好き』じゃない。

 このままじゃ、誰も楽にはなれない。苦しいままなんて、誰だって嫌だよな。

 俺は、啓介にはっきり言わなきゃならないんだ……どこまで受け入れてくれるかわかんねぇけど……言わなきゃ。







 このままじゃ、ダメだから。











 絶対に、ダメだと思うから……。










~ もやもや:晶side FIN ~
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