恋愛講習-赤点常習犯と初受講生-
「ほらよ。」


陽翔は輝久を引き上げた。


「潰れたのか?」


「大丈夫だ。1つ潰れても、もう1つあれば男としての威厳は保たれるさ。」


「本気で言ってるのか?」


「本当に大丈夫だって。ちゃんと2つあるさ。何だかんだ言って咲も手加減してくれてるんだから。」


そう言って輝久は一応確認した。


「ほらな。」


「何が『ほらな。』だよ。大丈夫なら早く教室に行くぞ。」


「うい。」


そうして陽翔と輝久は教室に向かった。


『3-B』


「ここか。そういえば俺ら以外に誰がいるんだ?」


咲と輝久の漫才の所為でクラスをちゃんと見る事が出来ていなかった。


「男子だとミッキーにフジモンにタケに…。」


「いつも通りのしょうもないメンバーって事か…。」


陽翔はガッカリした。


最後くらい新しい環境で学校生活を送れると思っていたからだ。


「けど女子はな…。」


「もういいよ。早く荷物置いて始業式に行く準備しようぜ。」


陽翔は輝久の言葉を遮って教室に入った。
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