Яё:set




私は雄叫びを上げて突進してくる怪物に向かって両手を突き出すと、手の平から電撃を飛ばす。




一瞬怯んだ怪物を見て私もレイの後を追った。




目の前の闇にレイの後ろ姿を見つけて駆け寄る。




呆然と立ち尽くしている彼に「なにしてんのよ!」と言いかけて私は言葉を詰まらせた。




何故なら、目の前には道が無かったから…。




「ウソ…行き止まり!?」




レイが「もうダメだ」と呟くのが聞こえた。




…もうダメ…?ここでゲームオーバーって事!?




「…嫌よ…せめてレイだけでも…」




彼だけでもクリアして現実世界へ…!




私は迫り来る気配を感じて振り返る。




「レイ…私が囮になるからその隙に逃げて…!」




「フウカ…もういい!」



「良くない!」



「なんで…なんで俺なんかの為に…!?」




「だって、レイは…レイジは私を救ってくれたから…」




こんな状況じゃなければ言いたい事がいっぱいあったのに…!




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