夏の記憶
バスケで鍛えたタケルのたくましい腕が私の顔をぐっと上に向ける。


涙で滲んだ視界の先に、タケルの顔があった。


いたずらっぽく光る大きな目は、私の知っているタケルの笑顔だった。



「ブサイク」



そう言って、タケルは笑った。



「ばか」



なんとかそう返して、私はタケルを叩いた。



「ひでえ顔」



叩かれながら、タケルはそう言って笑った。



「うるさいばか!」



私も、泣きながら笑った。



「帰るぞ、ブサイク」



そう言って、タケルは私の左手を握って、家への道を歩き出した。


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