Love Box:)
***
―――6時、駅前。
(…緊張、する)
夢なのか、現実なのか、未だにハッキリしない私は此処にくるまで通算50回は頬を抓った。
(…だって、あの、あの井上先輩と)
デ、デート…?!
キャー、である。嬉しくて舞い上がるキャー、とは少し違うそれ。
勿論嬉しいのだが、同時に信じられない気持ちと二人きりで1秒だって正気で過ごせる自信が、ない。
『落ち着け、私』
入学して、桜の舞い散る季節、彼を見つけた。
その時は何も思わなかった。
――あの時、までは。
(…ふぅ)
それから、ずっと。
かれこれ5年の、片想い。
どうにかなるなんて微塵も願ったことはない。
ただ胸の中に、ほっこりと大切に、しまってきた。
―――スーッ
たいして音もなく近づくロールスロイス。
「――桜さん、かな?」
私の時間は、止まった。