Love Box:)
「コウ?」
サクラ コウ。そう名乗った私を不思議そうにゆるり、傾いだ首と共に眺める井上さん。
(…あぁ)
だから、嫌なんだ。
『男っぽい、ですよね…』
「そう?」
無表情な彼は一言、そう訊き返すとワイングラスを傾ける。
表情はころころ変わるし、瞳はまともに見れないしで、彼の真意が解らない。
「――桜に香る、綺麗だよ?」
うん、と頷いて満足そうにまた、グラスを口につける。
「香も、飲む?」
カァ、と。体中がこうも熱くなるのは、何故なんだろう。
まるで中学生じゃないかと、内心で恥じらっても、抑えられない。
(…だって、)
大袈裟、なんかじゃない。
やっぱり大学内であれだけの人気があったのは、だてに権力や財力なんかだけに起因してない。
この人は…
(…なんだ、ろう)
――酷く、人を惹きつける
その瞳の撫ぜ方、仕草、物腰、話し方、声のトーン。
ひとつひとつをとっても全てに、魅了される。
色気、なんて安直に表せない何かを持っている。
『…いただき、ます』
この圧倒的なオーラに当てられて、平気な女の子なんていないと思った。