Love Box:)







「コウ?」


サクラ コウ。そう名乗った私を不思議そうにゆるり、傾いだ首と共に眺める井上さん。



(…あぁ)



だから、嫌なんだ。




『男っぽい、ですよね…』

「そう?」


無表情な彼は一言、そう訊き返すとワイングラスを傾ける。

表情はころころ変わるし、瞳はまともに見れないしで、彼の真意が解らない。




「――桜に香る、綺麗だよ?」


うん、と頷いて満足そうにまた、グラスを口につける。




「香も、飲む?」


カァ、と。体中がこうも熱くなるのは、何故なんだろう。

まるで中学生じゃないかと、内心で恥じらっても、抑えられない。



(…だって、)



大袈裟、なんかじゃない。

やっぱり大学内であれだけの人気があったのは、だてに権力や財力なんかだけに起因してない。

この人は…



(…なんだ、ろう)



――酷く、人を惹きつける



その瞳の撫ぜ方、仕草、物腰、話し方、声のトーン。

ひとつひとつをとっても全てに、魅了される。

色気、なんて安直に表せない何かを持っている。




『…いただき、ます』


この圧倒的なオーラに当てられて、平気な女の子なんていないと思った。















< 21 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop