Love Box:)
「俺が金持ちだから?」
コトリ、立てた膝にぶら下げるように置いた腕。その手からグラスを床に置いた井上さん。
お酒だろうか。
(…っ、ど、しよ)
『違います。そんなの、関係な…』
「学生時代だってどうせ名前と顔くらいしか、知らないだろ?」
(…それ、は)
確かに、否めない。
現に数時間一緒に居ただけでこうして、先輩の“知らなかった部分”に動揺している。
でも、でも、
(…私は、それだけじゃなくて)
(…名前と顔以外で貴方を好きになったのに)
「いーよ、無理しなくて。ごめんな」
振り向いて、少し酔ったのかふらり、先程にも増して艶やかな視線を私に向けると
ポンポン、慰めるように二度、私の膝に手を置く。
「…珍しく酔ったかな」
素直じゃないんだよな、なんて理解しずらい台詞をボソリ、零してまた後ろを向いてしまう。
無能な私は何一つ、気の効いた言葉なんてかけられず。
逆に彼にフォローされただけだ。