Love Box:)
(…もちろん)
『居ます…よ?』
「へぇ」
たいして興味もなさそうな返答。当たり前、か。それなのにジクリ、鈍く痛むこの左胸が鬱陶しい。
『…なぁ』
「はい」
『香は俺の秘密聞きたい?』
(…秘、密)
心当たりがないわけでない。
だけどどうしてそれを、今、この場所で「私に」話すんだろう。
信頼でも得たんだろうか。
それはそれで喜ばしい筈だけれど、信頼よりももっと得たいものが有るのに。
『なん、ですか?』
右手に煙草を挟んで振り向いた井上さんは、目で承諾を請う。
頷けばまた前を向いてカチリ、ライターの小さな音が鳴った。
『周りには知られてないけど、俺、もうかれこれ5年は片想いしてる』
フゥ、と紫煙漂う彼の右手。
その煙は暗い部屋の天井に舞い上がり、融けた。
(…っ、)
解っていたのに。
肺が押し潰されるような、鈍い痛み。
(…知って、ます)
そんな風に返せるわけもなく、口からでたのはただの愛想笑いと相槌。