Love Box:)
『わかり…ません』
咄嗟にでたのはそんな言葉で。
あぁ、もう全てを告げてしまいたい。そんな邪な想いがせり上がる。
(…先輩、いや、井上さんが好きなのはみちるさん、なのに)
(…ずっと、ずっと彼女だけを見ていて、大切で…、)
もう一度あのキラキラした、彼女を想う先輩の横顔が見たい。
傷つくのなんて分かっていて、それでもそんなあなたが好きだなんて最高級の、自虐。
『…私、知ってるんです』
「…え?」
私の答えに片眉をさげて苦い顔をしていた彼に、被せるように重ねて言った。
『先輩の好きな人は、みちるさん』
「……!、な、」
ポーカーフェイス。そんな言葉が似合った先輩はそこには居なかった。
(…なに、その顔)
みちるの名前を出した途端、慌てたように上気する顔。
大人で、余裕で、憧れのこの男は「みちる」でこんなにも乱れてしまうのだろうか。
(…ハ、)
苦笑と自嘲は精一杯の見栄っ張り。
「…なんで知って、」
『偶然です。ずっとずっと、知ってましたよ?』
そう言えばクツ、と。彼自身も苦笑を零して口許を僅かに歪めた。
「参ったな、」
(…参ったのは、こっちデスヨ)