Love Box:)
『見たことはないけど、きっと、素敵な人なんでしょうね…』
井上達矢にここまで想わせる人。彼をあんなにも、幸せそうな表情にする女性。
(…あなたが、羨ましい)
「あ、ぁ。彼女は…」
井上さんは幸せそうな苦笑と共に眉尻をさげて少し俯くと、クシャリ、照れ隠しするみたいに前髪を掴んだ。
「彼女は、みちるは、俺自身を見てくれるたった一人の女だったから…」
(…嗚呼、)
その顔は堪える。
キュウ、キュウ、と喉元から心臓にかけて絞られるような切ない痛みが
―――やけに、リアルだ
『…っ、井上さん、自身を?』
ハァ、と息を吸い込んで狭まるそこからなんとか声をだす。
大丈夫、バレてない。
「――言っただろ。なんで俺と会ったの?って、
大抵金と権力に釣られる女ばっかりだったから、さ
あんたもそうなのかなって思った」
ごめんな、なんて謝る。
外に居たときはあんなに余裕な紳士だったのに案外普通の、人並みに弱さも持つ男――井上達矢。
幻滅できたら、楽なのに。
(…それどころか、)
(…どんどんあなたが愛しくなる)
何故、だろうか。