Love Box:)







『は、い。も…、大丈夫、です』


あぁ、どうしようか、どうしようか。急に振り向くなんて。泣きかけていたのがバレるじゃないか。

まだ涙が落ちることなく乾くのを、待っていたのに。



(…全然、乾かな、い)



それに。

自分だけ器用に切り替えて、微笑みの仮面を被るなんてズルい。

この部屋で目覚めた時から、少し脱ぎかけた彼のソレを…

誰にも見せないであろう素顔を、少し覗けたのに。



(…、え?)



バレるんじゃないかと慌てた心にそんな思いを張り巡らせていれば、

延びてくる、手。



(…え、な、)




「―――泣いてる?」


思いっ切り、ガクン、と眉を下げて切な気に私の瞳を下から覗き込む。

そして、そしてその右手は私の―――



(――…ほっ、ぺた、)




『な、ななな泣いてないです…!!!!』


その大きな手の細い指の温もりが頬にあたって。僅かに香る車内でも感じた井上さんの香水もリアルに鼻をつく。



(…冷たい、のに)



その細い指先は冷たかった。それなのに温もりを感じるのは、何故だろう。















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