Love Box:)







『ごめんなさい』

「また謝る」

『私、私先輩と初めて会ったのにこんな、こんな迷惑かけて…』


ウー、と唇を噛んで必死に嗚咽を堪える私。

立ち上がった井上さんは仕方ないなぁ、と眉尻をさげては、そんな私の頭を優しく撫でた。




「最初もつまらなそうだったし、今だって泣いてばっかりだ」

『ごめ、なさい』

「…笑ってよ」


ニー、と引っ張られた両頬に驚いて井上さんを見上げる。

そこには私を哀しげ見下ろす、けれど穏やかに微笑んだ彼の顔があった。




(…笑ってるのに、凄く、哀しそう)




「俺、周囲に外面造ってるんだ。立場があるから。

でも、キミとこうして2人になったらなんだか馬鹿らしくなった」

『…え、』



(…突然何を言い出すんだろう)



相変わらず引っ張られたままの頬が熱をもって、アツイ。

見下ろされた視線からの逃げ場も、ない。




「キミと居たら本当の自分でいたくなった。なんだか面倒になって、」


だから外に居た時とは違って見えたのかな、と納得。

だけど何で私にそんな話をするんだろう…。




『あ、の…』

「キミに、俺を、有りの侭の自身を見て欲しくなった」

『見て、ますよ…?』


そう言えば苦笑してクシャクシャと私の頭を撫でる。

何でそんな事するの、と。さっきから私の頭は「何で」ばかり。




「また結局いつもみたいに外面の、偽りの俺目当てに会いにきたんだと思ったから、虚しくなって。

ちょっと冷たくした。…ごめんな」


キュウ、と。さっきとは違う想いで胸が締め付けられた。

嬉しかったんだ。慰められて、優しくされて。

井上さんの香りは、心地いい。














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