Love Box:)
『帰り、ますね…!』
最後くらいは明るく、笑顔に立ち去らなければ。
きっと彼は不審に思っているだろう。バレバレに泣き顔私を。
だって彼は知らないのだから。
(…私の、想いなんて)
『さよ、なら…』
破り捨てよう。何もかも。
ごめんなさい、井上さん。私はあなたみたいになれなかった。
好きだから、好きだから。近付けば近づくほどに、好きだから。
抑えられなくなるよ。
私の中の卑しい心が、あなたを独り占めしたくて騒ぎ出す。縋りつきたくて騒ぎ出す。
(…だから、捨てよう)
――この想いは、今日でおしまい
――タッタッタ
『ハァ、ハァ、ハァ、』
ここは何処なんだろう。勢いで階段を降り、途中からエレベーターに乗ってやっとフロントまで降りた。
『…タクシー、を、』
なんなんだ、ここは。
高級ホテル並みに洒落たマンションだ。フロントの傍に小さな滝が…、わわわ。
『携帯、どこやったっけ』
なにがなんだかよくわからなくて、手と足首が震えた。
言って、しまったのだ。そもそもココは、紛れもなく井上達矢のマンションなのだ。
昨日までは思いもしなかったこの状況に今更実感が湧いて、恐くて、腰が抜けそうになる。