Love Box:)







言って、しまったのだ。



(…何、を)



言って、しまったのだ。



(…一体私は何を言ったの)




(…『好き、だから』)



あぁ、なんて馬鹿なことしたんだろう。

井上さんからしたら理解しかねる、言語道断な台詞を押し付けて、逃げてくるなんて。



(…勝手なのは、私じゃない)




タッタッタ、


タクシーを呼ぼうと携帯に手をかけた私の耳がざわつく。


タッタッタ、


振り向きこそしないものの、サッ、と血の気がひいて嫌な予感と緊張感がはしった。













「――…っ、香、」


仕方なく振り返れば、息を切らして私の肩に手をかける、




『…先、輩、』


井上先輩の姿があった。




「っ、ハァ、なんで、逃げんだよ」

『、』

「…っ、なんだよ、あれ」


肩で息をしながら膝に手をあてて、それでもその眼はしっかりと私の瞳を射抜いている。

鋭利なまでのそれに、私は完全に捕らえられた。




『…あれ、って、』

「好きだからって、なにが」


分かっているのに誤魔化した。そうしたら真っ正面から突きつけられた。



(…逃げて、いたいのに)




「なぁ、なにが」


ガシ、と逃がすまいとして私の両肩を掴んで上体を起こした先輩の長身に見下ろされ、抗えない。















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