Love Box:)
『本当に、冷たい、ですね…』
意味もなく発した台詞に、運転手は何も言わなかった。
だいぶ、移動したんだろうか。
夜中でも賑やかな街を横目にレインボーブリッジを横切って、もうマンション街に差し掛かり始めたこの道路に他の車の気配も減った。
もう井上さんが居た場所、の影は景色の中にひとつもない。
前にも後ろにも車はないのに信号で停車する運転手さん。
(…止まらないで、ほしい)
走ってくれていた方が気が楽だ。めくるめく変わる景色を眺めていたほうが。
(…私は、変化についていけないから)