Love Box:)
――じわ、と。
真っ直ぐに直視していた筈の進行方向が歪んだ。
とても小さかった筈のオレンジのライトはどんどんぼやけて膨張し、視界を狭めていく。
(…あ、れ)
スー、と。膨張していたオレンジが元に戻った。同時に私の目から流れた大粒のそれ。
そしてまた視界は揺らぎ、元に戻るを繰り返す。
意識はしていなくとも無抵抗に続くそのサイクルに、いつの間にか膝に重ねた私の両手は冷たく、濡れていた。
(…どうして、なんで)
何で、言うこと聞いてくれないの?自分の体なのに。コントロール、できない。
今日1日だけ、1日だけだったのにまるで長い月日をかけて垣間見たかのように色んな井上さんのビジョンが…
切り取ったシーンの欠片が大量に、頭の中に浮かぶ。
(…ふ、ゥ、)
意識しなければどんどん沈んでいく呼吸と、締まっていく肺に、スゥ、と酸素を吸い込む。
だけど、そうすれば堪えていた涙が溢れ出すし、もうどうしていいか分からない。
(…井上、さん)
逢いたいです、好きです、抱き締めて、ほしいです。
心の中でだって今そんなことを口にしたら、私はもう駄目になってしまう気がした。