Love Box:)







「でももう無理なんだよ」

『…離して、』

「みちるが好きなんだよ」

『……―――――!』


ガブリ、最後の力を振り絞るようにその肩に噛みついた。

彼が驚いて両手の力を少し緩めた隙に勢いよくつきとばして距離をとる。




『ハァ、ハァ、』

「みちる…」


だってもうどうしようもないんだもの。


『たっちゃんの傍にいるとドロドロしものの中に引きずり込まれみたいで、もがけばもがくほど息ができないの。

…そのうちに、一緒に引きずり込んじゃうわ。

それにもう昔みたいにソフトクリームを食べたって悲しくなるだけなのよ。

二度と取り戻せないもの、戻れないものってあるじゃない。…流れてく時の中、変わってく現実を生きてるあたしたちなんだもの。

あたしたち2人の世界だけ、10年まえのまま時間を止めとくことなんてできないのよ。流れてく時が、周りの世界が、どんどん侵略して壊してくんだから』

一気にまくしたてて、頭が割れそうに痛かった。

失いたくなかった。でもどうしようもなかった。

手から零れ落ちる砂や水のようにその形を留めておくことなんて、どうやったってあたしにはできない。



(…どうやったらこのままでいられるの?教えてよ、たっちゃん)










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